士業の資格をお持ちの方と
キャリアコンサルティングを
しました。

40代後半の行政書士の方
(男性)です。

長らく資格取得のための勉強を
続け、今年の初めに晴れて合格。

実務面の経験がないので、
行政書士事務所で修行できたら、
と考えたがどこにも入れずに
今後のことをご相談に。

40代後半、業務経験にも数年の
ブランクがある、ということ
になると、就職が難しいのは確か。

どのような行政書士になりたい
ですか、という質問にも
とくにイメージがわかないそうです。

資格取得のための勉強としては
民法や会社法などの法律を
しっかりと学んだそうですが・・

幅広く学んだので、後は、顧客
と接する中で徐々にスキルや専門
性が高まっていくのだといいます。

「法人を作りたい」、という
創業希望の方にどうプロとしての
サービスができますか?

相続で悩んでいる方に、どうプロ
としてのアドバイスができますか?

とお聞きしても、いまは実務経験
がないので、何もできません、
との回答。

仮に、今後、どこかの
行政書士事務所で修行するのだと
しても、どこが受け入れてくれる
かしら・・・

20代や30代前半位の若手であれば
まだしも、40代後半の実務経験
ゼロの男性を見習いとして入れて
くれる事務所は、確かにないかも。


同じく、士業とも言える私達
キャリアコンサルタント(CC)は、
このクライアントに、いったい
どんなサポートができるのかしら。

===前段省略(途中から)===
(CC1)○○さんは、資格の勉強を
されていて、どの分野に一番興味を
もちましたか。
(CL1)憲法とは民法とか会社法を
少しとか、勉強してきましたが、
あえていえば、民法ですかね。
(CC2)民法の分野で、ここは実務
的にもできるようになりたい、
と思った事柄はありませんか?
(CL2)・・・
(CC3)例えば相続とか、成年後見
とか・・・
(CL3)ええ・・会社設立などよりは、
興味がわきます。
(CC4)先ほど「行政書士のための
実務テキスト」といった書籍がある、
という話でしたが、そうした書籍で、
例えば成年後見にまつわる実務に
ついて調べる事はできますか?
(CL4)ええ。
(CC5)ぜひ調べてみて、来週にでも
私にその報告をしてもらえませんか。
(CL5)・・・
(CC6)また成年後見については、
いま各自治体の社会福祉協議会でも、
ボランティアを募ったりしています。
そうした所からも情報収集をしてみ
たらどうでしょう。
(CL6)社会福祉・・・?
(CC7)社会福祉協議会は社協とも
呼ばれますが、お住まいの市にも
必ずあります。一度調べてみて、ぜひ
一度情報収集に訪ねてみてください。
(CL7)・・・
(CC8)ご自身で調べられますよね。
(CL8)ええ。
[パソコンで検索]
(CC9)「成年後見、行政書士」という
検索をすると、この成年後見という分野
は、行政書士にとってとても大きな分野
として注目されている事がわかります。
それを売りにして、事務所のHPを
作っている行政書士さんもいますね。
(CL9)はあ、そうですね。
(CC10)将来的には、士業として独立も
視野に入れているという話でしたが、
そこでは何かの売りがないと難しいで
しょう。それを見つけるためにも、
民法的な事柄に興味があるのならば、
その分野をめぐる実務的な勉強を進め
られたらどうでしょう。
(CL10)ええ。
(CC11)それに、就職を考えた時にも
ただ資格がある、というだけではなく、
ある事に興味をもって、こういう活動
をしてきました、という実績が強みに
なるのではないでしょうか。
(CL11)はぁ。


行政書士の世界は、資格があるだけで
就職できる、という事ではないようです。

それを踏まえて、少しでも実務的な知見
を深めてもらった方がいい、という考え
で、あえて指示的な面談を行いました。

「プロボノ」という言葉もありますが、
行政書士が、社協を訪ね、ボランティア
で関わらせてほしい、と言えば、社協側
は大歓迎なのではないでしょうか。

そこから、何が士としての自分にできる
のか、実務的な事にも携わる事で、
仕事理解と自己理解を深めてもらえたら、
と思っています。

この方の課題は、第一に仕事理解の不足
や現実世界についての情報不足、第二に
自らの将来のキャリアプランが明確にな
っていないという点にあるでしょう。

今回のキャリコンでは、CCに言われっ
ぱなし、という感覚をもったかもしれま
せんが、あえて、指示的な積極技法を
用いたキャリコン事例となりました。

「犬も歩けば棒にあたる」
実際に動いてみて、またそれを報告して
もらいたいと述べて、今回の面談を終了。