昨晩は3時間ほど、中小企業家同友会・渋谷支部
のzoom会合に出ました。

長野県の渋温泉にある「さかえや」という
老舗の温泉旅館が、倒産ぎりぎりの絶体絶命の
危機をどう乗り越えたか、という話。

三代目にあたる湯本社長が、従業員の20歳の
女性と一緒にzoom上で出演。

来月1000万円ないと潰れてしまう、
銀行は貸してくれない、
社長の指示に従わない社員がいて、
「強制するのか」と、組合も作る、
そんな崖っぷちから立ち直った、という話。

現在では、
従業員が舞台で発表をする形で旅館日本一を
決める「旅館甲子園」というイベントで、
2年連続で日本一に輝き、NHKでも
取り上げられる旅館に・・・。

NHKの「ネタドリ」では、
登校拒否や引きこもり、児童養護施設出身者
などを積極的に採用して、
トイレ掃除、感謝の手紙書き、などをする
中から、自律的で積極的な社員に育つ
までのプロセスを追ったドキュメント。

湯本社長いわく
「(ある時点までは)もっといい社員が
来てくれないかなぁ、とばかり考えて
いました。育てる、といった感覚が
なかったんです。」

どん底になった時から始めたのが、
トイレ掃除、全館の清掃、感謝のはがき書き、
それを率先して始め、新入社員には、
そういうものだ、ということでやってもらった、
とのこと。

感謝のはがきは、お客、他の従業員、上司、
部下、かつての恩師、両親、近隣の人、と
毎日毎日必ず一人一枚以上は書くように
していった。

そこから、この旅館なりの企業文化が生まれ、
従業員が率先して、アイデアを出し、
どんどんこの旅館を良くしていく。

各室にWi-Fiを入れる、というアイデアも
社員たちが出してきたが、社長は
ロビーだけでいいだろう、と言ったところ
「自分たちが稼ぎ出したお金で設置する
のならば社長もいいですよね?」という
ことで、
従業員が、お客に少しグレードの高い
一品やお土産を勧めたりして、稼ぎ出した
100円500円を溜め、3か月ほどで
Wi-fiが全室に入るようになったとのこと。

また、体験談を読んでくれた20歳の
料理部の女性の話は感動的。
児童養護施設の出身で両親の顔も
見たことがないという過去の持ち主だが、
感謝のはがきは、施設の先生への
ものはもちろんだが、入社2年目には
自分の誕生日に、生まれて初めて
両親への感謝のはがきを出した。

いまここに生きていられるだけで、
お母さんお父さんには感謝しています、
とのはがき。

それがきっかけとなって、今では
母からの手紙が4通。
「私の宝物です」とのこと。

人を育てる、従業員を信頼する、信じるという意識に
社長がなったとき、この旅館が、それまでの危機を
乗り越え、正のスパイラルに乗れた、
という話でした。

銀行も貸してくれない、絶体絶命は
どう乗り越えたのか、という質問も
出ましたが、窮すればいろいろな案が
あるものだ、とのこと。詳しくはぜひ
お泊りになって、夜を徹して語りましょう、
とのことでした。

従業員の組合は、自然消滅したとの
ことでした。