相談に来られた女性が話し始めます。
「5年程パートとして勤めてきた飲食店を最近やめました。」(クライエントの発言1=以下CL01・CL02・・・と表記)

それに対して、キャリアコンサルタントが応答します。
「5年間勤めてこられたお店を辞められた。」(キャリアコンサルタントの発言1=以下CC01・CC02・・・と表記)

CL02:ええ、コロナの影響で、売り上げが落ちたのでパートから従業員を削減していったんです。

CC02:そうなんですね。コロナの影響だったのですね。

CL03:はい、それで今、新しい仕事を探しているのですが、なかなか就職先が見つからなくて・・・。

CC03:仕事を探し始めても就職先がなかなか見つからないのですね。

CL04:うちはまだ娘が中学校で、これからも教育費が掛かるし、夫もいないものですから・・・。

CC04:そうなんですか。娘さんとお二人暮らしなんですね。

CL05:ええ。離婚を機に私は働きに出て、時間的にも融通が利いて、時給もそこそこ良かったので、とてもいい職場だったんですが・・・。

CC05:時間の融通が利いて、収入面でも満足のいく職場をいまも探しておられるのですか?

CL06:できればこの機会に正社員になりたいと思っているんです。

CC06:正社員の仕事を探しておられる?

CL07:ええ、それにもう40を過ぎましたし、飲食や介護といった仕事ではなく事務的な仕事に就ければと思っています。

CC07:事務系の正社員ということで探しておられるのですね。

CL08:そうです。でもなかなか応募しても書類が通らないことも多くて・・・。

CC08:今までに何件ほど応募されましたか?

CL09:10件ほどです。

CC09:10件。それで書類が通って面接に行けたのは何件ですか?

CL10:1件です。

CC10:その1件も採用とはならなかったわけですね。

CL11:ええ、パソコンも入力がやっとできるくらいですし、経理とかもわからないものですから。それに最低でも手取りで20万円を超える所を探しているんですが、それほど求人数が多いわけじゃないんです。

CC11:手取りで20万円を超えるということですと、額面では23万円程度の所を探しているわけですね。

CL12:ええ。20万から30万円といった賃金に幅がある求人もあるんですが、それは私のようなものだと、最初は20万ということですので・・・。

CC12:そうした所は条件に合わない、ということなんですね。

CL13:はい。賃金が22万円から位のところに応募してきました。

CC13:でも書類もなかなか通らない、というわけですね。

CL14:ええ。

CC14:ご自身では、採用に至らない理由をどう思っておられますか?

CL15:事務的な仕事をほとんど今までしてきた事がないですから・・・。

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ここまでの面談記録で、あなたはどのような「見立て」をしましたか?

前回、以下の2点が重要と申し上げました。
1)クライエントの方が発言したことを繰り返し、自分のものとして共感する。
2)仮説(見立て)を立てて、その面談をリードしていく。

1)の「繰り返し」については、上記の記録でも、CCがその前のCLの発言を繰り返していますから、おわかり頂けるかと思います。

2)につきましては、ここまで面談が進んだところで、あなたでしたら、そのような仮説(見立て)をされるかを、ぜひ考えてみてください。

「見立て」とは、キャリアコンサルタント側が考える仮説で、このクライエントの方の課題や問題点を~~ではないか、と見立てる、ということです。

~~の部分には、「自己理解の不足」、「職業理解の不足」、「コミュニケーションの不足」、「思い込み」といった言葉が入ります。

例えば「事務的な仕事をしてきたことがないから就職できない、と考えているのは、このクライエント(CL)の思い込みではないか」と見立てをする、といったことです。