「質問力」という言葉があります。
検索すると、書籍もかるく20冊以上はヒットします。

質問力―話し上手はここがちがう(斎藤 孝 )
最高の結果を引き出す質問力:その問い方が、脳を変える!(茂木 健一郎)
コンサルタントの「質問力」(野口吉昭)

といった感じです。

 

最近、キャリアコンサルティング技能士の2級に向けての
面接試験対策を行うことが多く、
そこでも「質問力」について、日々考えることがあります。

今までに、何度か受検に失敗した方々から、
「何を質問したらいいか、わからない」と言われることが
多いからです。

確かに、質問が適切にできないと、
キャリアコンサルタントの実技試験はうまくいかないでしょう。

試験対策講座のときに、個別に
(いまは対策講座は個人レッスンが中心)
受講者の方々にお話していることを、以下にまとめてみました。

1)基本は相談者に興味関心をもつこと!
(状況確認)

 

「ご家族とはご相談されていますか?、といった質問は、
いい質問ですか?」と、受検対策講座のなかで聞かれました。

もちろん、悪い質問ではありません。
(そもそも、悪い質問はない、と思って、自信をもって
ロールプレイに臨んでください。)

ただ、「より適切な質問」かどうか、
ということは、いつも考えてみてください。

「ご家族とご相談されていますか?」という質問を、
困った時(何を質問したらいいか、わからなくなった時)には
するんです、という方がいますが、それはどうでしょうか?

そもそも、ロールプレイの途中で、質問がなくなってしまう、
(何を質問したらいいかわかななくなってしまう)という
のは、やはり技能が未熟だ、と言わざるをえません。

私たち、キャリアコンサルタントの原則は、相談者の方に
関心を持つこと、その方の悩みを理解(受容)し、共感する
姿勢にあります。

もしも、相談者の方の悩みを聞いて、その悩みを一緒に
考え、解決しようと思ったら、これも聞きたい、あれも
聞きたい、となるのは普通ではないでしょうか。

まず、これを聞いて、次にこれを聞いて、などという
マニュアルは、ないと思ってください。

相談者の方の悩みを一緒に悩もうと思い、解決にむけて
何かできないか、と思ったら、必ず質問は出てくるはず
です。

そのなかに「ご家族とご相談されていますか?」という
質問も、もちろんある場合もあります。

しかし、次はこれを聞いて、これはまだ聞いていないから、
次に聞かなければ、といった、ある種マニュアルのよう
には、考えない方がいいと思っています。

【逐語録の例】

(相談者:CL1)いまの仕事を続けていこうか、迷っているんです。

(キャリアコンサルタント:CC1)いまのお仕事とは?
(CL2)営業です。
(CC2)何かご不満でもあるのですか?
(CL3)成績があがらず、ノルマを達成できていないんです。
(CC3)そうなんですか。それで会社からやめるように、と
言われているんでしょうか?
(CL4)会社からは、そうはっきりと言われてはいません。
(CC4)すると、ご自身で「この仕事は合わない」とか、何か
そうした事を考えているのですか?
(CL5)ええ。自分は口ベタですし、そもそも営業なんて向いて
いないんです。
(CC5)そもそも向いていない?
(CL6)ええ。今の会社にも入りたくて入ったわけではないんです。
(CC6)というと・・・?
(CL7)新卒の時に、いろいろな会社を受けたのですが、ぜんぜん
ダメで、この会社だけが入れたというか・・・
(CC7)とくに営業をやりたかったわけではない・・・?
(CL8)ええ、ぜんぜん。
(CC8)でもしょうがなくて営業をやってきている・・・?
(CL9)ええ。
(CC9)いま何年目になるんですか?
(CL10)1年と2カ月目です。
(CC10)この1年ちょっとは頑張ってきたわけですね?
(CL11)頑張ってきたというか、言われるままにやってきたと
いうか・・・
(CC11)成績があがっていない、ノルマが達成できていない、
ということですが、まったく成績はあがっていない。ゼロ、
というわけですか?
(CL12)ゼロ、というわけではないですが・・・
(CC12)というと?
===つづく===

このキャリアコンサルティングは、まだまだ続きますが、
質問がなくなる、何を質問したらいいか、悩んでしまう、
ということは、ここまではないのではないでしょうか。

状況を確認する、という段階では、質問がなくなる、
ということは、普通はありません。

相談者の方の言う事に、興味をもって、しっかりと状況を
知ろうと思えば、質問はどんどん出てきます。

(もしも上記の逐語録のようなやりとりも、難しい、
という方がおられたら、一つの解決策は、相談者が
言った事を、繰り返してあげる、というやり方を
おすすめしています。あるいは、「というと?」
のように短い簡単な質問で、もっと詳しく聴きたい、
という姿勢をとるように、と申し上げています。)

むしろ、先の逐語録であれば、この後に、どのような
質問をしていくかが問題となってくるでしょう。

<続きはまた次の回に書いていきます>