受験対策セミナー(国家資格キャリアコンサルタント、キャリアコンサルティング技能士2級、1級)
2級の受験対策の実技指導で、幾人もの方々の面接を拝見させて頂きましたが、 多くの方に共通する点として、以下のような事を感じています。
・・・・・基本は「傾聴」。自然な流れで「目標」や「方策」に、が基本。・・・・・
1)目標設定や方策まで行かねば、という気持ちから生じる不適切さには要注意。 自然な流れで目標や方策がでてこそ相談者も納得する
20分の面接(実技)時間内で、「具体的展開力」まで評価されるということで、どうしてもそこまで行かなければ、という焦りからか、面接に「丁寧さ」が欠ける方がいます。
「丁寧さ」が欠ける、とは、2級受験者としては、当然できていなければならない「受容的・共感的な態度」が薄れてしまうということです。 「15分たったから、ここで目標を述べなければ・・・」といった考えに陥ってしまい、十分に傾聴をせずに、性急に結論を急ぐといった態度になってしまうため、クライアントとの関係構築が崩れてしまうのです。
中には、「ではこの2つの選択肢のそれぞれについて、比較表を次回までに書いてきて頂けますか?」と、事前に想定してきた目標設定を、それまでの面談の流れからみると、唐突に思える形で、提案される方もいます。
2級試験では、相談者のケースが事前に示されているため、このケースに当たったら、このような目標や方策を言おう、と準備されている方もいますし、またそれを強く推奨し指導している他のスクールもあると聞きます。もちろん、ある程度の想定を事前にされる事自体は決して悪いことではありませんが、その想定に無理に当てはめようとするのは、あきらかに邪道ですし、評価もされません。
先の「ではこの2つの選択肢のそれぞれについて、比較表を次回までに書いてきて頂けますか?」という発言は、それ自体悪いものではありませんが、それは相談者の話をしっかりと傾聴して、その自然な流れとして発言されることで、
はじめて相談者にも納得されるものとして機能するわけです。
「傾聴」の姿勢ができているかどうか、をとくに強く評価されると言われている「国家資格キャリアコンサルタント」試験(面談時間15分)よりも、5分長くなり具体的な展開まで問われるようになったからといって、「受容的・共感的な態度」を忘れてしまっては、キャリアコンサルタントとして元も子もありません。傾聴姿勢をしっかりと保つ、という基本は変わりません。
・・・・・「型」にはめて考えるな!・・・・・
2)理想形としての「型」はあるが、あくまでも参考。囚われると危険。相談者に寄り添う姿勢を忘れないこと
当校のように2級対策講座を開かれている他のスクールの中には、「13~15分たったらこのように言って、最後はこう締めくくりなさい」というように、ある種のパターン(型)を指導しているところもあるそうです。
理想形として、そのような型が示されるのは、いい事かもしれませんが、それに囚われるあまり、「受容的・共感的な態度」が薄れ、結果として「関係構築力」や「問題把握力」の評価が低くなってしまっては、逆効果と言えるでしょう。
上記1)とも連動しますが、基本的なキャリアコンサルタントとしての態度をしっかりと押さえたうえで、はじめて「型」ありき、でしょう。
当校でも、「型」があった方が、わかりやすいので、ぜひ示してください、という要望にお応えして、以下のような図を示して説明しますが、そこで示している20分内の時間配分などは、あくまでも参考であり、理想形としての「型」を示すだけのものです。
「型に当てはめて面談を進めよう、とは考えないでください」と常に言っています。あくまでも相談者に寄り添い、相談者が「気づき」を得たり、あるいは相談者の方に何らかの「変化」が生まれるように関わってください、と述べています。
蛇足ですが、時間の事をさらに申し述べれば、極端な話、次項3)に述べるような「深掘り」ができているのあれば、時間切れで「目標の設定」まで至らなくてもいいのです。
実際、当校で2級対策講座の講師をお願いしている先生のお一人は、2級検定の際に、目標設定や方策まで至らなかった、と語っています。 相談者の気づきや変化への促しがあれば、それでもいいのです。口頭試問において、「時間切れとなってしまい、目標設定まで行きませんでしたが、想定としては、さらに相談者の方の話をよくお聞きしたうえですが、例えば・・・・のような目標設定を考えておりました。」と述べればいいのです。
・・・・・感情言葉や思い込み等に着目し、焦点を絞って深掘りせよ!・・・・・
3)当初の10~18分での質問は、できるだけ焦点を絞ることが大事。それが相談者の気づきや「変化」につながる
2級技能検定の評価項目の「具体的展開力」は、以下のように記載されています。
相談者との関係性を意識しながら面談を進め、相談者の訴えを理解した上で適切な目標を設定し、キャリアコンサルタントとしての対応を適切に選択し、対応できることで、相談者に気づき、変化(問題に対する認知の変化、自分または重
要な他者に対する認知の変化、自己の表面的な表現から内面表現への変化、具体的行動や意欲の変化など)が起こること。
これは、評価内容に関する公式な記述ですから、ぜひ何度も熟読してもらいたいと思っていますが、ここでは「気づき」や「変化」というキーワードに注目します。上記の記述によれば、相談者に「気づき」や「変化」を与えられれば、それが高得点につながるわけです。
では、どのようにしてそうした面談ができるようになるのでしょうか?
それは、相談者に「語りたいことを語ってもらう」面談の中での、キャリアコンサルタント側の質問の仕方に係わってきます。どれだけ、有効な質問を、適切に時間内に繰り出していけるかによるのです。
悪い例をあげましょう。中には他のスクールで教わったのか、「自己理解、職場理解、家族などの環境・・・」というように教条的に質問を事前に用意している方がいます。まずは自身のことを質問し、次は職場のことを聞き、次は家族のことを聞くのだそうです。これでは、表面的な回答が返ってくるだけで終わってしまうことも多く、そもそも時間が足りなくなってしまいます。
面談当初の5分程度は、もちろん事実関係や事柄を聞いていくことになるのですが、そうした中にある相談者の感情の言葉や、話していることのうちに垣間見られる矛盾点(こうしたこともしたいが、でも一方ではこんなことも考えている・・・といったことなど)あるいは思い込み等に着目して、そこを丁寧に拾っていきましょう、質問の矛先をそうした点に絞って行っていきましょう、と当校では指導させて頂いています。
具体的をあげましょう。
「転職したい」という相談者の事例はよく試験に出ますが、最初の発言で、「いまの仕事が自分に合わず転職を考えているのですが、1年足らずで転職しては、今後のキャリアに傷がつくと思うと・・・」といった発言があれば、「傷が
つく、とおっしゃっていますが、そうしたお気持ちをもう少し詳しくお聞かせいただけますか?」と突っ込んでいくわけです。「傷がつく」は一種の感情の言葉とも取れますし、あるいは「思い込み」といったとらえ方もできると思います。
(口頭試問で「主訴以外の相談者の問題点は?」という質問が出るので、その意味でも要チェックの発言です。)
ここで「・・・・(相談者の発言)・・・・なのですね。今のお仕事の前にはどのような仕事をされていたのですか?」といった質問を繰り出してくる方がいますが、もちろんそれを全否定するわけではありませんが、20分の中で、できるだけ気づきや変化を促したいと思えば、感情や気持ちに焦点を絞り、そこに即した質問を出して、相談者には「語りたいことを語ってもらう」ようにしていった方がいいと考えています。この例でいえば、相談者が語りたければ、前の仕事の事も、自然な流れで語られるのです。(つまりあえてこちらから、新たな質問として聞かなくてもよいのです。)
例えば「傷がつく」といった言葉を起点として、感情や気持ちに焦点をあてて「深掘り」をしていけば、そこでは気持ちを聞いているのですから、相談者は「表面的な表現」で、事柄や事実を、質問に沿って答えている、という段階を脱して「内面的表現」で応えてくれる確率は格段に高くなり、それだけでも試験の評価点は、プラスにつながると言えます。
また、相談者が気づきを得る機会も多くなり、さらに自分自身や周囲の重要な他者に対しての認識・認知の変化へとつながっていく可能性も見えてくるのです。 (それが、キャリアコンサルティングの醍醐味でもあるのですが・・・)
※当校では、ご希望の方に、その方のご都合に合わせた日時での、個別指導も行っております。